西原理恵子の講演会でいちばんよかったこと
2月14日バレンタインデーは西原理恵子の講演会に行ってきた。
サイバラさんといえば、まー、絵はあんなんだし、
壮絶人生を軽やかにネタにしてしまうあのバイタリティと毒気、
「ち〇こ・ま〇こ」 連発の言動に、
キワモノ揃いの TOKYO MX「5時に夢中!」コメンテーター周辺の交友関係やら、作品+アルファの部分でもいつも気になっていた作家だったんです。
TOKYOMXは「東京メトロポリタンテレビ」といって、東京都を対象とする局で、なかなかエッヂィな番組があるんです。「5時に夢中!」はKBS京都とサンテレビで中継されているらしいから、関西でご存知の方もあるかしら。
「5時に夢中!」の岩井志麻ん子ちゃんの日なんて、東京での専業主婦時代、子どもがうるさくしようものなら、「だまってなさい、今からママの時間なんだから!」つって叱りとばして見てたもんだわ。
地元図書館の貼り紙を見て、てろーんと申しこんだだけだったので
まさか主催が「枚方市子ども青少年課」とは知らず、
会場に到着すると、なにやらおカターい雰囲気に、不思議な違和感を感じたものです。
しかしまあ、悠々と登場した西原理恵子氏、
「さっきまで、『まいかた』だと思ってました、すみません。」とか
「画力対決」といって、即興でお題に基づくイラストを描き上げるイベントでは
「信長と光秀?えーっと、カステラの服を着てる人はどっちでしたっけ?」
とまあ、のっけから脱力できてとってもいい感じ^^
もう一つのお題で、「ドラえもんのキャラ」というのがあったんだけど、
西原さんの解釈が冴えていて、
「ドラえもん=真善美」みたいな思い込みをベリベリベリっと剥がされちゃった。
「ジャイアンが人から奪ったものの残りをハイエナのようにあさったり、ドラえもんに他力本願で出してもらったもので何とか生きて行こうという、どうしようもない根性ののび太。ろくな大人にならない。」
「とにかくいいとこだけさらっていく、イケ好かない女、しずかちゃん」
「ほかの3人に比べると、まだまっとうな大人になりそうなスネ夫」
ですってよ。
なんか、この40年来の自分の中のステレオタイプが
ガラガラ音を立てて崩れていきません?ほんま脱力ですよ。
あとねえ、「この世でいちばん大事な『カネ』の話」にも詳しいけど、
今回、淡々と語ってくれた人生いろいろ、
ほんと、生で聞くと、さらになんともいえぬ深みがあったわ。
西原さんは高知の漁師町の出身なんだけど、
地方のどうしようもない貧しい閉塞感、
男は働かないでギャンブル・浮気・暴力、
女は金がなくてとにかくイライラして、
両親ともが子どもを殴る。
若いモンはあらゆる悪行しかやることなくて、
シンナー吸って、麻薬やって、窃盗やって、売春やって。
そんな高知から「自分は子どもを殴る大人になりたくない」
と東京に逃げてきて、
好きな絵で生きていこう、自分の力で稼ごう、
男には絶対頼らない、と決めて 武蔵野美大に入学。
そしたら、東京の美大生のレベルは高すぎて、
自分の画力ではとうてい無理、と「カッコイイ仕事」はあきらめて
まずは「エロ本」業界でのイラスト修行、ミニスカパブ勤め、
仕事は選ばず、自分の勝負できるところで何でも受けて、稼いできた。
そこで培われた「なんでもやってやろう」
「おもろいことやってナンボ」の芸風が
今のヒット連発の西原氏をつくってきたということだ。
青少年課の課長さんかなんかが、
インタビュー形式で聞いていったわけなんですけど、
主催側も西原さんの本や人生を読みこんでいたおかげで、
進行も的を得ており、聞きやすくてよかったですね。
「高知の女は、とにかく小さい時から周りのひどい男に懲りているはずなのに、私も広末涼子も『くされち〇こ』をついついくわえこんでしまう、高知の女の典型です。」とかさ、
そういうピーなコメントにも、果敢に挑んでいく枚方市青少年課職員、
なかなかやるねえ、と妙なところで感心してしまったのだった。
終盤に、質問タイムとなったので、
「西原さんが、お子さんへのお金に関する教育で、一番大切にしているところを教えてください。」という質問をしてみました。
西原さんは、こんな感じのことを答えてくれました。
「おカネの話はとにかくあけっぴろげに子どもにしてきたので、子どもはまたか、といやがっていますけど、この30年間、とにかく私が働いて働いてきたところを見てきているので、(長男が)アメリカ留学するときにお金がかるということにも、彼から自然に感謝の言葉がでるようになった。」
「今も、大きい収入が入ると、『こんなに儲かった』と言って通帳を見せてるけど、いやがられてる」
最近こそ、「金持ち父さん、貧乏父さん」あたりの影響か、
日本でも一部で「お金の教育を家庭で」と言われるようになったり、
「人生ゲーム」の新版に妙に世知辛い、
カネにまつわる内容が入ってきたりはしていますが、
それでもまだ、「親は子どもにカネの苦労は見せない」
「お金のことを子どもの前で話すのはよくない」
という考え方のご家庭も多い気がします。
一方で、私の考えは、西原さんちと一緒なので、
ちょっと自信がつきました。
最後に、生の西原理恵子を拝見して、
「めっちゃかわいい、輝いている51歳!!」
だと知ったことが、私にとっての最大の嬉しいことでした。
生い立ちの苦労、カネの苦労、男の苦労を全部乗り越えて、
自分の腕一本で子どもをまっとうに育て、
今は大好きなダーリン(70歳)といちゃいちゃ。
なんか、そういう50代って とってもステキじゃないですか。