東京への「ひとり旅」
ここに一枚の写真がある。
こたろうの2歳の頃の写真で、
私の大好きな一枚だ。
幼なじみのゆうちゃんとは、
生まれた時から母子ともども仲良しだった。
こたろうは生まれてから幼稚園卒園までを、
この大きな公園のある東京の町で過ごして、
私の実家のある大阪で小学校に上がった。
今では大阪弁バリバリの2年生だ。
先週、私が出張で東京に行くことになったため、
東京単身赴任中の主人と合流し、
週末をひっかけて、旅行もして過ごそうと計画した。
しかし、子どもだけが大阪で留守番ということになると、
それもかわいそうに思えた。
そこで、金曜日一日学校を休ませ、
こたろうを東京に呼び寄せることにした。
おばあちゃんに京都駅からこたろうを新幹線に乗せてもらい
東京駅で降りたところを私が迎えに行く。
こたろうは、2時間15分の初めてのひとり旅を経験することになった。
はじめは「ひとりで行くのなんて無理」と言っていた。
でも、懐かしい幼稚園時代の友だちにあえることが、
彼の不安を打ち消すほどの勇気をもたらしてくれたようだ。
幼稚園卒園から2年、
いつもこのあたりで、暑い日も寒い日も遊んでいたともだちと。
金曜の3時ごろ下校した旧友と、
2年前と何一つ変わっていないかのように、
2年前の「昨日の続きのように」一緒に遊んできた。
夕方、みんなが駅まで見送ってくれて、
いつまでも手を振ってくれたので
涙が出そうになって、足早にホームに上がってしまった。
この子は、友だちに好かれてしあわせな子だなあ、、、と思った。
幼稚園の頃の記憶というのは、私には殆ど残っていないが、
今回の再会で、この子に「生まれ故郷・東京」の思い出が残るのなら、
東京まで連れてきたかいがあったなあ、と思う。